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スーツ代を経費にできる?条件はあるが経費にできる方法2つを解説

従業員が仕事で着用するスーツの購入費用を経費として処理し、一人ひとりの金銭的な負担を減らしたいとお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

スーツの購入代金は基本的に経費計上できないため、福利厚生のような形で会社から従業員への補助はできません。

しかし条件を満たせば、経費として計上し、福利厚生として補助できる場合もあります。

この記事では、下記の3つのケースに分けて、経費にできるかどうかをご紹介します。

  • 会社・法人でスーツ代金を経費計上する
  • 給与所得者が経費として申請する
  • 個人事業主が経費として処理する

スーツ代金を経費に含められないかとお悩みの方は、ぜひご覧ください。

目次
1. スーツを経費で落とせる?
 1-1. 会社・法人でのケース
 1-2. 給与所得者(社長・役員・従業員)のケース
 1-3. 個人事業主のケース

2. スーツを経費で落とす方法
 2-1. 必要性を証明して経費計上する
 2-2. 特定支出控除として申請する

3. スーツを経費計上するときの科目

4. スーツを経費計上するときの注意点
 4-1. 購入記録が必須となる
 4-2. 給与所得控除を考慮する
 4-3. 高額すぎるスーツは不適とされる
 4-4. 全額を計上できない場合がある

5. スーツの実費負担を少しでも軽減させるなら「SUIT BENEFIT」

6. まとめ

1. スーツを経費で落とせる?

「スーツを経費で落としたい」と考える場合、通常3つのケースが想定されます。

  1. 会社・法人が経費計上して法人税を節税したい
  2. 給与所得者が経費申請して金銭的な負担を和らげたい
  3. 個人事業主が経費計上して節税したい

それぞれのケースで、経費計上できるかをご紹介します。

1-1. 会社・法人でのケース

従業員が着用するスーツの購入費用を経費計上し、会社の福利厚生としてサービスを提供したいケースが該当します。

「従業員の着用するスーツ代金を全額負担します」として福利厚生を提供できれば、人材獲得を狙うとともに、節税効果による利益確保を狙えるようになるでしょう。

しかし、会社・法人において、スーツの経費計上は難しい場合がほとんどです。

福利厚生として提供する、すなわち福利厚生費として経費計上するには、そのスーツが「私用できないもの」でなければならないためです。

スーツは通勤時・退勤後などに私用できてしまうため、経費計上が非常に難しいアイテムといえます。

1-2. 給与所得者(社長・役員・従業員)のケース

給与所得者が「スーツを経費にしたい」と考える場合、会社へ申請し費用を負担してもらいたいという思いがあるはずです。

しかし会社・法人側は、従業員が購入してきたスーツを経費計上するのは非常に難しいため、申請を受けても受け付けられない場合がほとんどです。

これにより、給与所得者も、スーツの経費計上は基本的にできないといえます。

しかし、給与所得者の収入にはあらかじめ、会社での経費に相当する「給与所得控除」が適用されています。

これは、仕事に関連して購入するにもかかわらず、全額を自己負担しなければならない物品がある点を踏まえ、年収に応じて一定の控除を適用する制度です。

給与所得控除によって費用負担の軽減が図られている項目として、例えば下記が挙げられます。

  • 仕事のため購入するが、通勤時や冠婚葬祭などで私用もできるスーツ
  • 仕事のため自発的に購入した書籍
  • 仕事のため自発的に通い始めた習い事の費用

1-3. 個人事業主のケース

個人事業主の場合も、基本的にスーツは経費計上ができません。

とくに個人事業主の場合は、個人が会社の運営も担っているため、事業と家庭の区分ができないという特徴があるのも理由のひとつです。

しかしその一方で、裁判の判例によってスーツ代が家事関連費として判断された例もあります。

特殊な職業に従事する者ではないその他の一般の給与所得者についても、専ら、または、主に家庭において着用するのではなく、これを除き、その地位、職種に応じ、勤務(ないし職務)上一定の種類、品質、数量以上の被服を必要とする場合には、その被服費の支出は勤務についても関連するものとして、家事費ではなく、家事関連費であると解するのが相当である。

引用:裁判所裁判例結果詳細  京都地方裁判所昭和41(行ウ)10 所得税決定処分取消請求事件

家事関連費は「仕事のためにも生活のためにも使う物品に対する支出」を計上する項目です。

そのため私用した割合に応じ、安分すれば一部を経費にできる余地も残っているとされています。

しかし経費にできるかは条件によって異なり、専門知識がないと判断が難しいものです。

税務署から指摘を受けたくない方は、スーツの購入費用は経費計上しないほうが無難といえるでしょう。

2. スーツを経費で落とす方法

スーツは基本的に経費計上できませんが、複数ある条件をクリアすると経費計上が可能になります。

ここでは、私用していない・できないことを証明して経費計上する方法と、特定支出控除として申請する方法をご紹介します。

2-1. 私用していない・できないことを証明して経費計上する 

経費計上するには「私用できないこと」が重要なポイントとなります。

国税庁は下記の見解を示しており、経費計上するには両方の条件を満たさなければなりません。

①専ら勤務する場所において通常の職務を行う上で着用するもので、私用には着用しない又は着用できないものであること、②事務服等の支給又は貸与が、その職場に属する者の全員又は一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われるものであること

引用:国税庁背広の支給による経済的利益

例えば、一目でわかるように社名・ロゴを入れて私用できないデザインにすると、経費として処理できる可能性があります。

また毎日の記録を取って保管し、通勤時を含む私用をしていないことを証明できるデータを蓄積しておくのも、経費計上できる可能性を上げる取り組みとなるでしょう。

関連記事:「スーツは福利厚生費として認められる?メリット・デメリットや注意点も解説」

2-2. 特定支出控除として申請する

企業に勤めている方の場合は、特定支出控除として申請すると経費として計上できる可能性があります。

特定支出控除とは、給与所得控除の1/2を超えた分を控除できる制度です。

えば、年収が400万円の方の場合、給与所得控除は124万円分適用されています。

その半額となる62万円を超えたときに、確定申告をすると経費として計上できるようになるのが特定支出控除です。

特定支出控除として計上できる項目として「通勤費」「職務上の旅費」「転居費」「研修費」「資格取得費」「帰宅旅費」「図書費・衣服費・交際費等」の7つが設定されています。

衣服費は、国税庁によって下記のとおり明記されているため、スーツも含められると考えられます。

(2)制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)

引用:国税庁No.1415 給与所得者の特定支出控除

ただし、年収400万円の方で職務関連の出費が62万円以上なければ申請できない点、経費として計上するには確定申告をしなければならない点などから、利用のハードルは高いといえるでしょう。

3. スーツを経費計上するときの科目

さまざまな条件を満たし、問題なく経費に計上できる場合は、スーツは消耗品費または雑費で処理しましょう。

また業務使用分を明らかにし、その分のみを安分して処理する点に注意が必要です。

例えば、週休2日で勤務している方のスーツなら、スーツ代金の7分の5を経費として計上します。

ただし経費計上するには、給与の支払者が支出額を証明できなければなりません。

購入金額を証明できる書類を保管したうえで、毎日の服装を記録するというような、日々の工夫が必要です。

4. スーツを経費計上するときの注意点

条件をクリアしてスーツ代金を経費計上できるようになっても、さらに注意しなければならない点があります。

下記の4点について、ひととおり確認しておきましょう。

  • 購入記録が必須
  • 給与所得控除を考慮する
  • 高額すぎるスーツは不適とされる
  • 全額の計上はできない場合がある

4-1. 購入記録が必須となる

経費として計上するにあたり、どこで、いくらで購入したのかといった購入記録が必要です。

領収書を必ず保管し、紛失しないよう注意しましょう。

紛失してしまった場合は、スーツの購入費用を経費にできなかったり、経費にできる割合がより低くなったりする可能性があります。

4-2. 給与所得控除を考慮する

給与所得者の場合、すでに給与所得控除として一定額の控除が適用されています。

基本的には収入金額ごとに定められた給与所得控除内でやりくりし、超過した分のみ特定支出控除を利用しましょう。

4-3. 高額すぎるスーツは不適とされる

スーツの購入費用は、判例では「業務上必要な出費の場合に経費計上できる可能性がある」とする見解にとどまっています。

そのため、必要以上に高額なスーツは、経費計上ができないとして指摘が入る可能性があります。

個人の嗜好と見なされない範囲内で、業務上スーツの着用が求められるシーンに合わせた、適切な価格帯のスーツを見つける必要があるといえるでしょう。

4-4. 全額を計上できない場合がある

スーツは、経費に計上できても安分しなければならず、全額が対象にならない可能性が高い物品です。

「制服として、企業・法人が同じデザインのスーツを支給・貸与する」というような場合でなければ、使用状況に応じた会計処理が必要です。

5. スーツの実費負担を少しでも軽減させるなら「SUIT BENEFIT」

企業の経営を担う方のなかには「従業員の金銭的な負担をどうにか軽減させてあげたい」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その場合は、会社側でスーツの割引サービスを契約し、従業員がより安くスーツを購入できる店舗を確保することでサポートができます。

「SUIT BENEFIT」では、1人あたり月額330円(税込)で、提携小売店でスーツ・身の回り品を購入する際の料金を割引できるサービスを提供しています。

また、無制限の出張採寸も行っており、社内でオーダーメイドスーツの仕立ても可能です。

スーツに関連するサポートを検討中の方は、ぜひ「SUIT BENEFIT」から詳細をご確認ください。

6. まとめ

スーツの購入代金を経費として計上するには、さまざまな条件を満たさなければなりません。

そのため通常は経費として処理できず、いわゆる自腹での負担をしなければないケースがほとんどです。

くわえて、経費計上できたとしてもいくつもの注意点があり、会計上の取り扱い方には気を配る必要があります。

のちのち税務調査で指摘を受けないためには、ポイントを十分に把握したうえで処理することが大切です。

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